「子どもに迷惑をかけたくないから、元気なうちに家のことは決めておきたい」——そう考える方は少なくありません。実際、信頼できる不動産の相談先を、元気なうちに確保しておくのは、とても理にかなった備えです。ただし、その「相談」の形によっては、思わぬ落とし穴があることも知っておいてほしいのです。
なぜ、元気なうちに決めておくと安心なのか
空き家や訳あり物件の管理は、不動産会社にとっても正直なところ簡単な仕事ではありません。「いつ持ち主が亡くなるか分からない物件を、事前に把握しておく」というのは、事業者側から見れば手間のかかる話です。だからこそ、あらかじめ「この家は将来、こういう形で手放したい」という意向を伝えておくことは、いざというときにスムーズに動いてもらえる、双方にとって理にかなった備えになります。
荷物をどうするか、空き家になったらどうするか、誰が窓口になるか——こうした話を、判断力がしっかりしているうちにまとめておけば、家族が後から慌てずに済みます。
まとめておきたい話のポイント
- 将来、家をどうしたいか(売却する・子どもに残す・貸すなど)
- 家の中の荷物をどう扱ってほしいか
- 相談窓口として、誰に・どこに連絡すればいいか
- 売却する場合、誰が窓口になって進めるか
すべてを契約書のような堅い形にする必要はありません。まずは家族と共有できる形で、考えを言葉にしておくだけでも十分な備えになります。
【重要】ここで注意したい、契約の落とし穴
ここからが、今回一番お伝えしたいことです。高齢者が自宅の将来について事業者と話を進める際、近年トラブルが急増している契約形態があります。「自宅を売っても、家賃を払えばそのまま住み続けられる」という触れ込みの契約です。
国民生活センターは、2025年5月(強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!)、2026年8月(自宅の「リースバック」トラブルにご注意!)と、続けてこの種の契約について注意喚起を発表しています。さらに2026年10月には、高齢者の見守り向けの情報でも取り上げられました。国土交通省も、宅建業者向けの「リースバックに関するガイドライン」を2026年10月1日から施行し、業界全体でルールを整備しようとしている段階です。
何が問題なのか、具体的に見ていきましょう。
- 相場より安く買い取られるケースがある:「住み続けられる」という利便性と引き換えに、売却価格が一般的な相場より低く設定されることがあります
- 「ずっと住める」とは限らない:契約の種類によっては、一定期間が過ぎると更新されず、退去を求められることがあります
- 判断力が低下した状態で契約させられるケースがある:十分に内容を理解しないまま契約してしまう高齢者のトラブルが報告されています
- クーリングオフが使えない:一度契約すると、後から「やっぱりやめたい」と思っても、取り消せない場合がほとんどです
信頼できる相手かどうかの見分け方
すべての事業者が悪質というわけでは、もちろんありません。ただし、次のようなサインには注意してください。
- その場での即決を強く勧めてくる
- 家族に相談することを避けさせようとする
- 契約内容の説明が曖昧で、書面を後回しにしようとする
- 「今だけ」「特別に」といった急かす言葉が多い
大切な決断は、必ず一度持ち帰り、家族や第三者に相談してから進めることをおすすめします。信頼できる相談先かどうかは、急かさず、待ってくれるかどうかでも見えてきます。
「住み続ける」前提ではなく「手放す」前提なら、リスクの構造が変わる
今回のトラブルの多くは、「売った後も住み続ける」という、売主と事業者の関係が売却後も続く契約形態から生まれています。一方、住まいを完全に手放す前提の買取(このサイトでご紹介している訳あり物件買取のような形)であれば、売却後に賃貸関係が続くことがないため、今回紹介したような「追い出される」「家賃を払い続ける」といったリスクの構造自体が生じません。どちらが良い・悪いということではなく、まずは仕組みの違いを理解した上で、自分に合った選択をすることが大切です。
よくある質問
Q. 元気なうちに不動産屋に相談しておくこと自体は、やめた方がいいのでしょうか?
A. いいえ、備えとして相談しておくこと自体はおすすめです。ただし、その場で契約を急がされる場合は注意し、家族や第三者にも必ず共有しましょう。
Q. すでに家族が契約してしまったか心配です。どうすればいいですか?
A. 消費生活センターや弁護士など、専門の相談窓口に早めに相談することをおすすめします。
Q. 「そのまま住み続けられる」契約は、必ず悪い契約なのでしょうか?
A. 一概には言えませんが、契約の種類(更新の有無など)や価格の妥当性を、契約前にしっかり確認することが重要です。



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